訪問歯科診療には「歯科診療」「口腔ケア」「リハビリテーション」の3つの柱があります。病気の内容やステージ、時間の経過とともにその比重が変化し、多くの場合、この3つの柱が同時に必要となります。
「食べられなくて困っている」という訴えは、多くの通院困難な方に共通する訴えです。歯が抜けてしまったり、入れ歯を壊してしまったり、入れ歯が痛いなど原因は様々ですが、訪問歯科診療では、そうした訴えをくみ取り、むし歯や歯周病などの治療や入れ歯の作製・修理、口腔ケアなどに対応します。また、誤嚥性肺炎の予防や食べる機能の回復など、口腔機能のリハビリテーションも実施します。患者様の病状や体力に合わせて無理のないように進めます。
一般的な歯科医院でできる治療全般を行います
・むし歯、歯周病などの治療
むし歯を削ることから、被せ物・詰め物の装着、ブリッジの作成まで、院内で行う治療と変わらないレベルのむし歯治療を提供しています。また、歯に付着したプラーク(歯垢)・歯石、歯周ポケットの深部の汚れまで、専用器具を使用して徹底して落とし、歯周病の治療と予防を行います。
・入れ歯(義歯)の作製/調整/修理
不具合のある入れ歯の調整や修理はもちろん、新しく義歯を作製することも可能です。ご要望の際はお気軽にご相談ください。
・定期検診/クリーニング
定期的なお口の検診やメインテナンス(むし歯や歯周病などを再発させず、口内の健康な状態を維持していくための定期的な治療)で、むし歯や歯周病を予防します。ご本人とサポートされている方にも正しいブラッシング方法や食事についての指導を行います。
そのほかの専門的な治療
・口腔ケア
近年、口腔ケアという言葉は歯科領域だけでなく一般の医療、看護、介護の領域でも広く使われるようになっています。この口腔ケアは、広義には口腔が有しているあらゆる働き(摂食、咀嚼、嚥下、構音、審美性・顔貌の回復、唾液分泌機能など)を健全に維持する、あるいは機能に障害があるときに、それをケアすることを意味します。一方、口腔衛生管理の一連(口腔清掃や義歯の清掃など)を口腔ケアと呼称することもあります。
・専門的口腔ケア
専門的口腔ケアとは、様々なケースに対応できる歯科専門職が、ケアを必要する方の身体や精神的状況、環境に配慮して口腔のケアプランを立てて実施する口腔ケアです。
・口腔リハビリ
口腔リハビリは、脳血管疾患などの影響で口腔機能が低下してる場合などに、口唇、頬、舌を積極的に刺激して、口腔機能を高めたり、飲み込みを改善したりします。
・嚥下障害のリハビリ
食事中にむせ込んだり、食べ物が喉につかえたりする嚥下障害は、誤嚥性肺炎につながることがあります。肺炎の発症率は加齢とともに増加し、肺炎で死亡する人の大部分は65歳以上の高齢者であり、年々増加傾向にあります。嚥下の機能訓練や嚥下補助装置により、誤嚥性肺炎につながる嚥下障害を防ぐサポートを実施します。